妊活・不妊治療を行っている中で、転職を考えざるを得ないこともあると思います。突然の夫や自分の転勤辞令、激務で通院できない、出産後を考えると続けていける気がしない・・等。
転職活動を始める前に、まずは心得ておくこともあります。
※転職活動を始める前に心得ておくこと、注意点はこちらにまとめています。
そちらも踏まえた上で「転職をする!」と決めた方向けに、転職業界で15年以上、様々な業界の企業の採用ニーズと色々な業界、職種、ご年齢の個人の方のキャリアを支援しつつ、不妊治療もしてきた管理人の視点で、転職活動前で事前に準備をして起きたいこと、面接で受け答えの対策をしておきたいことをまとめています。
転職活動前に準備をしておきたいこと
キャリアの棚卸し
キャリアの棚卸しというのは、これまで経験したことを振り返り、次のことを整理することです。
- 仕事選びの動機の整理
- 入社した会社を選んだ理由
- 入社した会社を退職した理由
- 今回転職する理由
- 経験業務で培われた能力
- 自信がある業務↔自信のない(経験値の足りない)業務
- 経験してできるようになったこと↔できるけど苦手なこと
- 転職先への貢献の仕方
- 転職先で発揮したい能力(できること)
- 転職先で鍛えていきたい能力(伸ばすこと)
こちらに加えて、将来像を明確にもっている場合は、どのようなことを実現してきたいのか、そのために経験したいこと等もまとめておきましょう。
棚卸しをすることで、転職を考え出すきっかけや経験内容など、自分の思考原理や能力を整理でき、職務経歴書の作成や面接時の自己PRもしやすくなります。その分、応募企業も選びやすくなるので、企業からも、応募動機に対して納得感を得られやすく、転職活動をスムーズに進めるられる可能性が高まります。
職務経歴書の見直し
転職を急ぐあまり、職務経歴書の内容が薄かったり、PRが漏れていることがあります。ポイントとしては下記の内容が盛り込まれているのか見直してみましょう。
- 職歴書の見出しに自分の経験要約ができているか。
- 各社の入社年
- 経験職種・大まかな業務要約
- (あれば)代表的な実績1,2個
- 職務詳細の内容に抜け漏れはないか
- 職種、経験概要に間違いはないか
- 時系列で表記できているか
- 実績の漏れはないか
- 職務経歴書が長すぎることはないか
- 長くてもA4サイズ4枚(A3サイズ、2アップで2枚)に収められるとベスト
職務経歴書には、特段「正しい書き方」のようなものは存在していません。相手に自分の能力と目指す方向性を分り易く伝えるための書類です。書類の構成で、ドキュメント能力や伝える能力もPRすることができます。
そのため、書類自体の見やすさ(フォント、文字の大きさ、見出し)、わかりやすさ(内容の分かりやすさ、文章構成)は書類選考でとても大切なポイントになります。経験したことがうまく伝わっているのか、書類が見やすいか気になる場合は、夫婦で内容をチェックし、少しでも分かりづらい、違う伝わり方をしてしまいそうだと思ったら修正をしていきましょう。
応募企業の条件設定
妊活・不妊治療中の転職活動の場合、入社後出産を迎える可能性が高い活動となります。
そのため、出産後も続けられるか?と言う観点も踏まえて選ぶ必要があります。
例えば・・・
予め行く産休後も想定して応募先を選んでおくと、入社後の悩みや不安が減り、安心して働くことができます。
ただし、育産休実績やワーママの有無は、企業の創立が若い場合や、社員が比較的若い場合には、まだそういう社員が誕生していないため実績がないケースもあります。もしも気になる企業で実績がない場合は、まずは応募をして、選考中に社員の長期活躍に対する考え方を聞いてみることをお勧めします。妊娠や出産後も活躍を望む会社の場合は、社員と話し合いながら制度を作っていたり、状況に応じて制度内容を柔軟に変更することで時代に合わせています。
夫婦で予め話し合いをしておく
転職活動を始めると、想定しないことも発生します。絶対にそうする‼と言うつもりですりあわせなくても良いかなと思いますが、次のことが起こるかもしれないと想定し、少しでも事前にすりあわせておくことで、夫婦で支え合って活動を進めることができます。
転職活動は進めるうちに受けたい企業や方向性が変わってきたり、現職の仕事や転職活動の疲れなどから少し休憩してから数ヶ月後に転職活動を再会したいなと言う気持ちになることもあります。
そんな時、何のための転職活動だったのかを夫婦で理解をしておくとお互いに気遣うことができ、状況に応じて方向転換も判断しやすくなります。
面接ポイントとその整理
面接では、大半の企業の面接で聞かれるセオリーのようなポイントがあります。面接を臨むに当たってはそのポイントを整理し、伝え方の練習をしていきましょう。
よく聞かれる3つのポイント
転職理由の整理
面接で転職理由を伝える際の注意点としては、理由として妊活や不妊治療通院を全面に出さないことです。面接は、「私を採用したら御社にとってこんな良いことがありますよ!」「こんな仕事を任せてください!」とPRする場です。そのため、妊活や不妊治療通院中心の話を出してしまうと、企業に採用するメリットが伝わりづらくなってしまいます。
予め応募企業を条件を元に選定していれば、応募企業に入社できれば妊活や不妊治療は進められる可能性は高いでしょうし、情報が少なく判断がつかない場合も、内定を獲得した後で細かい条件を確認・比較をして入社を決めれば問題ありません。妊活や不妊治療をしていることで内定を取り消される、もめると言うケースは管理人は聞いたことがなく、もしそういった会社があったとしたらそれはブラック企業なので入らない方が良いです。
「この方を採用したら成果を出してくれそうだ!」とPRに繋がりやすい転職理由の伝え方としては、「転職理由=転職で叶えたい(経験、業務、将来像など)こと」となるように準備することです。
そのため、次のように整理をして受け答えの練習をしておきましょう。
- その企業・業務で成果を上げたい、取り組んでみたい理由
- なぜその企業・業務で成果を上げたい、取り組んでみたいと考えたのか
(できれば自分が実現したいことや培いたい能力・経験も踏まえて) - なぜ現職では②が実現できないのか
(=転職理由となります)
このように整理することで、自分の目標ややりたいことなどの延長線上に応募企業がある、という伝わり方となり、入社後の活躍のイメージも持ってもらいやすくなります。
会社の状況から転職したい場合
一方で、業務は好きなものの、会社の状況から転職をしたい、と考えている方もいる方もいるかもしれません。その場合、次に当てはまる方であれば、転職理由をそのまま伝えていただいたほうが、企業からも理解を得られやすいです。
業務を気に入っていたとしても、確かにその状況だったら辞めたくなるよな・・と誰しもが思えることであれば、言いたくない場合を除き、隠す必要はありません。
この場合はもしも現職の状況が悪くなければ業務を通じてやりたかったこと、目指していたことはあるのか、と言う観点で将来叶えたかったことも整理しておきましょう。
面接での伝え方
「転職理由は何ですか?」という質問に対してはまずは簡潔に、30秒~1分で答えましょう。簡潔に答えることで、面接官から「具体的には?」「○○と言うことはなかったの?」など、掘り下げる質問をもらうことができます。質疑で会話が進む分、話が長い、QAがズレている、のような、もったいないお見送りを回避しやすくなります。
更に、面接官からの掘り下げ質問は大抵の場合想定できるものが多く、始めに整理さえできていれば、受け答えできることが多いかと思います。また、転職理由の問答の際、面接官の方から「上司に相談してみたことはありますか?」と、自分からどう働きかけたのか質問をされるケースをよく見るので、こちらは事前に回答を用意しておくと無難です。
伝え方と面接官からの質問例)
❶転職理由としては、○○の業務に携わってみたいと考えたためです。と言うのも、現職では△△については任せてもらっており、非常にやりがいをもって取り組んでいます。将来的には○○に携わりたいものの、現職ではその担当となるまでにX年要することが慣例となっており、もっと早くから取り組める組織で活躍したいと考えるようになりました。
→想定質問:
「○○の業務をしてみたいと相談してみたことは?」
「その業務をするために努力をしていたことは?」
「○○の業務をした先に叶えたいことはあるの?」
「その業務をする先としてなぜうちに応募したの?」
等
❷業務自体は非常に面白みを感じているものの9時出社、22時退勤が組織的に常態化しており、長い目線で見たときにもう少し家庭の時間もとれる環境で活躍していきたいと考え、転職を決意しました。
→想定質問:
「その中で応募先を選ぶ基準はどう考えてるの?」
「もし組織の働き方が問題なければ現職に残ってたの?上司には相談した?」
「もっと早く帰れてる人はいなかった?その人はなぜ帰れてたの?」
「具体的にやりがいだった業務は何?」
等
志望動機の整理
転職理由も踏まえた上で、なぜ応募企業を受けたのか、ここに一貫性を持つことができれば筋が通っている印象を与えやすく、評価も比較的得やすくなります。
そのためには次のことを調べて企業や業務理解をすると志望動機を固めて行きやすくなります。
- 企業ホームページの事業内容、商品・サービス紹介ページ
- (上場企業であれば)決算説明資料や個人向け株主説明会資料
- インターネットのニュースやインタビュー記事検索
ー「企業名 ニュース」/「商品・サービス名 ニュース」 等
この情報から会社についてまとめることは次の点です。
❶現在の一番の稼ぎ頭は何か
❷今、力を入れていることは何か(❶と重複していることもあります)
ー次に狙っているマーケットや分野は?
ー実際に打っている打ち手はありそうか?
❸❷のために課題となっていそうなことはありそうか?
ここまでそろえば、それを踏まえて自分の応募職種についてもまとめます。
❶応募職種・業務はその中で何に貢献していそうか
❷(どんなに軽微でも)どう動いたら周囲の人、会社のためになりそうか
❸❶❷を踏まえてどのように活躍していきたいか
これにより、活躍をするためにしっかり準備をしてきた転職活動である印象付けになるとともに、面接官と業務や能力のすり合わせもしやすくなり、双方で入社後のギャップを解消することにも役立ちます。
応募企業の情報が少ない場合
企業によっては、ホームページに載せている情報が少なく詳細が分からない場合があります。その際は、次の方法でほかの情報がないか、探してみましょう。
- SNSなどで会社や商品の広報をしていないか
- 転職サイトに求人を載せていないか
- 新卒用の就職サイトに情報を載せていないか
- 転職エージェントが情報を持っていないか
もしこれらの情報を調べてみたものの情報が見つからなかった、という場合は、企業側もそこまで事前の深い理解を選考では求めていないことが多いです。
そのため、まずは求人を見かけたから、など、本当の理由を伝えつつ、面接の場で今後会社としての方向性はどうなのか業務の内容はどうなのかなど、質問の時間で質問をしながら理解を深めましょう。
面接での伝え方
志望動機を伝える際、求人の業務がフィットしていたから、商品を知っていたから、と答える方がいらっしゃいます。あくまで「応募したきっかけ」として伝える分には問題ありません。ただ、それだけでは志望動機にはなり得ません。ほかの応募者の方よりも優れている、と印象付けるためにも、先ほど準備した内容を元に、具体的に志望動機を伝えましょう。
特に、大手企業や有名企業に応募する場合は、ライバルとなる応募者も大勢います。ライバルの応募者と差をつけて評価を獲得する必要があるので、より応募先の事業の方向性や業務をしっかりとイメージして志望理由を準備、話す練習をしておきましょう。
実際の伝え方例)
・求人を拝見したときに業務ができそうだと感じたことで興味を持ちました。調べていくうちに御社が〇〇にも参入され、将来的に△△も目指していることを知ったことで、ぜひその組織で少しでもお役に立ちたいと思うようになり、いたしました。
・□□の事業を開始や△△の実施など、チャレンジを続けていることに非常に興味を持ち、私も□□の経験を生かすことで活躍をしていきたいと感じ応募しました。
入社後どうなりたいのかの整理
多くの企業が、転職理由、志望動機と共に、「うちに入ったら何をしたいですか?」「将来的にどうなりたいなど考えていることはありますか?」という質問を投げかけます。
これは、企業側は入社後の長期活躍を期待して採用することもあり、応募者の方が目指している方向性と企業が提供できることにギャップがある場合、双方にとって良くないため、キャリアすり合せとして利用されています。
受かるために準備する内容は、企業や応募職種が専門性を生かしたスペシャリストを求めているのか、マネジメントや経営を見るようなゼネラリストを求めているかでも異なってきます。
ただし、自分のキャリアを決定づけることもある質問でもあるので、受かるために希望しないことを盛り込んで変に作りこむのはお勧めできません。本心として将来的にどのような業務に携わっていってみたいか、5年後や10年後、どのように活躍をしていたいかを考え、そのままお伝えしたほうが入社後悩まずに済むのでは、と思います。もし業務を理解しきっておらず、伝え方のイメージがわかないようであればそれも含めて面接ですり合わせることをお勧めします。
実際の伝え方例)
・まずは〇〇を行いたいと思っていますが、将来的には□□や△△にも挑戦することで、自分のできる幅を広げていきたいと考えています。そのためにも早急な業務のキャッチアップと自主勉強も行っていくつもりです。
・ゆくゆくは部下育成にも携わってみたいと思っています。ただ自分の成果を残すだけでなく、それを誰かに伝えることで組織を強くし、成長させていくことに非常に興味を持っています。
・まだ業務の内容をイメージしきれていない点があるため相違があれば教えていただきたいのですが、〇〇にもチャレンジしてみたいと考えています。
面接前の練習の仕方
練習をせずに本番を迎えると、予想以上に話が長くなってしまった、口が回らず、表情が硬くなってしまった、など、本番ならではの空気感や緊張によって後悔することがあります。
そのため事前に面接を想定して練習をしてみましょう。
- 鏡の前で自分の表情を見ながら受け答えの練習
- Zoomなどオンライン画面を見ながら練習
- 夫婦で練習
ポイントとしては、次の2点です。
①表情が硬くなりすぎていないか
②回答の内容が長くなりすぎていたり、伝えたいことが抜けていないか
練習自体は1,2回やれば慣れます。録画・録音をして見返してみても良いので、練習をすることで慣れていきましょう。
面接練習での注意点
練習をしていると心配になって、本番に向けて台本を用意する方がいますが、御法度です。練習中だけであればよいのですが、台本を用意すると次のようなことが起こります。
- 面接で話すことがセリフ調になってしまい、個性が伝わりづらい
- 想定外の質問をされたときにうまく答えられない
- オンライン面接では台本を読んでいることがバレバレとなる(目線で分かります)
- 台本の内容が緊張で飛んでしまったとき、その後もうまく答えられなくなってしまう
とはいえ、大切なポイントはきちんと伝えたいと思いますので、もしも忘れてしまいそうな方は、どうしても伝えたい実績など、ポイントだけメモをしておくことをお勧めします。
まとめ
妊活中、不妊治療中の転職活動は、現職・妊活・転職活動と、3足の草鞋を履いて進めることになります。その分精神的な負荷は高いかもしれません。
ただ、次に移ることが最善だと思って踏み出したのであれば、後悔するような転職活動はしたくないですよね。妊活や不妊治療をしていることを除いてはすべて普通の転職活動と同じです。妊活の状況や通院の状況によって支えが必要なこともあると思いますので、ぜひ夫婦で相談、共有をしながら進めていきましょう。